インターネットシャットダウン/中国インターネット安全法
インターネットシャットダウンとは
- (政治的な背景から)意図的に通信の中断が行われ、情報が遮断されることです。政権に対する世論操作・選挙の際のイメージ操作などのためにソーシャルメディアのサイト、モバイルアプリケーションの通信が制御・遮断されることがあるのです。中国のネット検閲などがわかりやすい例かと思いますが、 (中国の検閲とインターネットシャットダウンはちょっと別枠の議論のようです。)
このインターネットシャットダウンが近年増加しており、2016年の国連人権理事会でもその人権侵害が強く非難されました。通信や特定のアプリケーションの利用に遮断・制限があった場合、具体的には下記のような影響があります。
- インターネットを利用するビジネス対する阻害
- 離れた家族・友人と連絡がとれなくなる
- インターネット上ので金銭取引に対する阻害
ISOC(Internet Society)からも声明が出ており、最近注目されているトピックとして考えていいと思います。
Let's Keep The Internet On For Everyone | Internet Society
アフリカ地域で増加するインターネットシャットダウン
2016年に観測されたインターネットシャットダウンの数は56だったそうですが、そのうちの大部分はアフリカ地域が占めていたと言われており、AFRINIC(アフリカ地域を管轄する地域インターネットレジストリ (RIR))が6/2に声明を出しています。
AFRINICはこの声明が根本的な解決になるとは思っておらず、場合によってはこの声明による状況の悪化も危ぶまれるとしていますが、政策手段としての「インターネットシャットダウン」を放棄するよう呼びかけ、政府に対しステークホルダーとの対話を求めています。
(おまけ)中国のインターネット安全法
6/1に中国政府が出したインターネット上での言論の統制を強化する「インターネット安全法(サイバーセキュリティ法)」があります。もともと中国でFacebookをはじめとする各種SNSの利用が制限されているのは有名は話ですが、これに対し中国人は有料のVPNサービスを利用することで検閲から逃れ、Facebookなどを利用していることが多いです。しかし、このVPNの利用規制が今年の1月に発表され、引き続き6/1にインターネット安全法が施行されました。この場合の「安全」はあくまで中国政府にとっての安全でしかないのですが、この法律により、インターネットのオペレーターは政府からの要請があれば技術的な協力やインターネットの利用者に関する個人の情報を提供する必要があります。
このブログ投稿当時はインターネットシャットダウンと中国のネット検閲問題を同枠で説明してしまいましたが、
- インターネットシャットダウン - 人権的な問題として注目
(アフリカ・インドあたりで議論されることが多い気がします) - 中国のインターネット安全法・検閲 - 経済的な注目を浴びている
(先進国視点から、中国市場への参入・事業展開を阻む観点から)
といった別の文脈で議論されることが多いそうでした。
参考: